【現役管理者が本音】訪問看護師の靴の選び方|「ナースシューズ」はほぼ買わなくていい理由と現場の正解

※ この記事は、現役で訪問看護の現場に立ち、スタッフの採用・教育や事業所の運営にも携わる立場から書いています(→ 運営者情報)。

訪問看護への入職が決まって、「よし、靴を新調しよう」と思っているあなたへ。ちょっと待ってください。通販サイトで「ナースシューズ」と検索して出てくる靴、あれはほぼ全部、病棟向けです。院内のリノリウムの床を静かに歩くための靴と、外を歩き、自転車をこぎ、1日に何十回も玄関で脱ぎ履きする訪問看護の靴は、選ぶ基準がまるで違います。現場の管理者として、本音で解説します。

結論:正解は「ボロボロになってもいい、履き慣れたスニーカー」

先に結論を言うと、私の着地点は「ボロボロになってもいいようなスニーカーを、緩めに履く」です。高機能なナースシューズでも、防水シューズでも、おしゃれなスリッポンでもありません。普通のスニーカーです。

なぜそこに行き着くのか。訪問看護の現場で靴に何が起きるのかを知ると、納得してもらえると思います。

訪問看護の靴に起きること——病棟との違い

  • 1日に20〜30回、脱いだり履いたりする。訪問件数×玄関の出入りで、多い日はこれくらいになります
  • 外を歩く・自転車をこぐ・雨でも決行。移動そのものが仕事の一部です
  • 汚れるのは確定。しかも外側だけとは限らない。利用者さん宅の床の状態によっては靴下が汚れたまま靴を履くことになりますし、排泄物や食べ残しを踏んでしまうことだってあります
  • 訪問中、靴は玄関に置きっぱなし。高価な靴や希少なスニーカーは、万一盗まれたらその日の訪問が回れなくなります

「いい靴を長く大事に履く」という発想が、そもそも成立しにくい環境なんです。

「かかと」問題——訪問看護師の永遠のジレンマ

1日20〜30回の脱ぎ履きとなると、効率を考えて「かかとの無い靴にしようかな」と一度は考えます。ところが、これが結構難しい。

  • かかとが無い靴:急いで歩くと脱げやすい。それに、足のにおいが外に漏れるのが気になる場面も
  • かかとがある靴:脱ぎ履きのたびに手間がかかる

どちらを取っても一長一短。だから私は「緩めに履いたスニーカー」に落ち着きました。スタッフの間で定番なのは、かかとを潰したり戻したりできるタイプのスニーカーです。クロックス派もいますが、結構汚れます。全体で見ると、やっぱりスニーカーが一番多いですね。

白いナースシューズ・防水靴・スリッポンの本音

白いナースシューズ:外で履いてる人を見ると、正直「結構かっこいいな」と思っちゃいます。でも汚れが目立つし、長くもたない。現実的には難しいです。

防水シューズ:私も「長靴は見た目も着脱も大変だから」と靴タイプの完全防水を使ったことがあります。結果——水なんて平気で入ってきます。履いてる意味がない状態になりました。台風接近レベルの豪雨の日は「やりすぎ」くらいの完全装備じゃないと厳しいです。びちゃびちゃのままでは利用者さんのお宅に上がれませんから。「防水靴を1足買えば雨は解決」とはならない、というのが経験者の結論です。

スリッポン・サンダル系:管理者としては、正直ナシです。「スリッパの法則」なんて言葉があるくらいで、足元が緩むと気も緩んで、事故やミスにつながりかねないと個人的には思っています。車を運転する人は、ペダルに挟まって事故になるリスクも考えてほしい。自転車でもケガのリスクがあります。仕事なので、しっかりしたもので挑んでほしいというのが本音です。

新人がやりがちな靴の失敗

  • 新しい環境だからと靴を新調してくる——おろしたての靴は着脱に時間がかかります。同行訪問でもたついて、帰り際に「失礼しまーす」と言いながら手こずっていると、利用者さんやご家族から「靴ベラ使いますか?」と気を使わせてしまうことも。新人さんこそ履き慣れた靴で来てください
  • 汚れて落ち込むような靴を履いてくる——汚れるのは確定です。落ち込むくらいなら、その靴は履かないこと
  • サイズが小さい靴を我慢して履く——これが一番の失敗談。大きい分にはなんとかなりますが、小さい靴は苦痛が指数関数的に増していきます。1日歩く仕事で小さい靴は本当に危険です

靴と同じくらい大事な「靴下」と玄関の作法

意外と見落とされがちですが、訪問看護では靴を脱いだ後も見られています。

  • 素足はNG。実際にクレームが来ます。必ず靴下を
  • 脱いだ靴は、玄関の飾りが置かれている反対側に揃える。細かいことですが、ご家族は見ています
  • 清潔な靴下で臨む。汚れたり破損したら、コンビニでも調達できるので替えの準備を。利用者さん宅の床で靴下が汚れてしまうこともあります
  • ちなみに、キャラクターものやご当地キャラの靴下は、利用者さんから声をかけられて会話のきっかけになることも。清潔感さえあれば、ちょっとした遊び心はアリです

お金と消耗のリアル

消耗のペースは、早くて3か月、長くもっても1年に1足は間違いなく潰れます。だからこそ「安めの靴を潰れたら買い替える」が合理的なんです。

靴代の補助は、出る事業所もあります(全額ではなく一部補助が多い)。ただ、無い事業所のほうが多いのが実情です。毎日使う商売道具なので、本当はあってもいいですよね。会社のロゴや社名が入った靴なんて、かっこいいと思うんですが。

季節についてひとつだけ:冬はマジで寒いので、しっかりした靴をおすすめします。ここだけは手を抜かないでください。

まとめ:汚れてもいい靴で、気分よく働く

まとめると、訪問看護の靴選びはこうなります。

  • 「ナースシューズ」は買わなくていい。履き慣れた普通のスニーカーでいい
  • 基準は「着脱のしやすさ」と「見た目(自分の気分が上がるか)」の2点。みんな意外とこの2つで選んでいます
  • 高い靴・希少な靴・小さい靴・落ち込むほど大事な靴はNG
  • 靴下と玄関の作法までがワンセット

最後にひとつ。制約の多い靴選びですが、うちのスタッフも意外とみんな好きな靴を履いています。ダイエット向けの靴で歩いている人もいます。汚れても盗まれても仕方ない、と割り切れる範囲で、自分の気分が上がる靴を選ぶ——毎日履くものだからこそ、気分よく仕事をする道具として選んでみてください。

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