※ この記事は、現役で訪問看護の現場に立ち、スタッフの採用・育成や事業所の運営にも携わる立場から書いています(→ 運営者情報)。
「訪問看護師として、年収を本気で上げたい」——そう考えている方へ。採用・育成・経営する側の立場から、きれいごと抜きで「何が一番効くのか」をお伝えします。
先に結論を言うと、年収アップに一番効くのは「役職(ポジション)」です。そして、多くの人が期待する資格手当は、悲しいほど効きません。戦略的に動けば、駆け出しのころの2〜3倍も十分に狙えます。その設計図を具体的に書いていきます。
年収を上げる4つの手段と「効く順番」
訪問看護で年収を上げる手段は、大きく4つです。
- ① 件数手当でがんばる
- ② オンコール手当でがんばる
- ③ 資格手当でがんばる
- ④ 役職(ポジション)で上げる
金額アップのインパクトが大きい順に並べると、④ > ① > ② > ③。つまり役職が最も効き、資格手当が最も効きません。①件数や②オンコールの手当の詳細は訪問看護の件数のリアルやオンコールのリアルも参考にしてください。狙うべきは、やはり④の役職です。
資格手当は、悲しいほど効かない
正直に言います。資格手当は、本当に少ないです。看護師の一つ上の資格といえる認定看護師を取っても、よくて月5,000〜10,000円つくかどうか。実際はどこも5,000円程度だと思います。業界全体の課題ですが、資格そのものの市場価値は、残念ながら高くありません。
なぜか。評価されるのは「利益につながる作業」だからです。「数字以外で看護師を評価してほしい」という声は本当に多く聞きます。気持ちは痛いほど分かります。でも——では「採血を3回失敗したら降格、ボーナスから減額でいい?」「患者さんからNGをもらったら減給ね?」となったら、それこそ残酷ですよね。看護の質を物差しにして評価するのは、それくらい難しいのです。だから数字(利益貢献)で評価される。これは業界の課題であると同時に、ある種の”やさしさ”でもある——ここはスタッフにも十分に理解してほしいところです。
最強の戦略は「ポジション → 転職」を繰り返す
では、役職でどう年収を上げていくか。具体的な戦略はこうです。
「やります!」と手を挙げれば、需要とポジションの数はかなりあります。だから、意図的に年収を上げたいなら、まず行けるところまで出世に挑戦する。そこで頭打ちになったら、そのタイミングで転職し、上げた年収を維持したまま、別の会社の一般職(あるいは次のポジション)から再スタートする。これができるのです。
イメージとしては、「ポジション → 転職 → ポジション → 転職」。おそらく3回以内くらいで、自分が落ち着けるところが見つかります。これは5〜10年のスパンで計画できるといい。駆け出しのころの金額と比べたら、2倍以上、3倍も狙えます。
さらに先の話をすると、大手で未上場の企業であれば、将来的に投資機関から「内部の事情を知るコンサルとして話を聞きたい」といった案件につながっていくこともあります。経験値としてもキャリア戦略としても、訪問看護で年収を上げていく道は、思っている以上に開けています。若いうちでも、子育てが落ち着いてからでも、需要は十分。むしろ、うまくポジションや企業にフィットできれば、本当にいい環境で働けます。キャリアの全体像は訪問看護師のキャリアパスもあわせてどうぞ。
掛け持ち・副業はアリ?
掛け持ちや副業については、「本業より時給単価が高ければ、やっていい」というのが私の考えです。
逆に、ただ収入の母数を増やしたいだけの掛け持ちは、正直おすすめしません。経験上、それでは幸せになりにくい。時間も体力も犠牲にしなければならないからです。それなら、ゆっくりでも、回数が少なくてもいいので、自分の経験が活きる「スポットコンサル」のような高単価案件を探していくほうが、ずっと賢い。同じ時間を使うなら、単価の高いところに使う——これが副業の鉄則です。
「上がる職場」と「上がらない職場」
役職で年収を上げる戦略を取るなら、職場選びが決定的に重要です。
個人経営で1拠点しかないところは、ポジションが狙いにくいです。上が詰まっていて、役職の空きが生まれないからです。ただし、その事業所が「今後、多拠点展開を考えている」なら話は別。「2店舗目の管理者をお願いしたい」となる可能性があります。とはいえ、駆け出しの企業ほど「管理者は誰でもいい」とはならず、気に入られ、信頼された人ができるまで2店舗目に踏み出さないもの。だから時間はかかります。
収入面だけで見れば、すでに多拠点展開している法人で役職を狙うのが一番の近道です。そして、入ったら少なくとも1年くらいはしがみつくこと。やってみてマネジメントが楽しい、ここにフィットした、と思えるなら、そこで腰を据えればいい。職場の見極め方は訪問看護ステーションの選び方にまとめています。
まとめ
- 年収アップに効く順は「④役職 > ①件数 > ②オンコール > ③資格」
- 資格手当は月5,000円程度が相場。市場価値は残念ながら低い
- 最強の戦略は「ポジション→転職」の繰り返し。3回以内・5〜10年で2〜3倍も
- 副業は「本業より高単価」が鉄則。母数稼ぎの掛け持ちは不幸のもと
- 役職狙いなら多拠点展開の法人へ。1拠点の個人経営は上がりにくい
訪問看護は、戦略的に動けば年収をしっかり伸ばせる仕事です。「資格を取れば上がる」という思い込みを手放し、役職とキャリア設計で勝負する——その視点を持てた人から、年収は変わっていきます。給料の基本構造は訪問看護の給料のリアルも読んで、自分の戦略を描いてみてください。

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