【現役が解説】訪問看護の給料はいくら?リアルな手取りと内訳

※ この記事は、現役の訪問看護師でスタッフの採用・教育にも携わる立場から書いています(→ 運営者情報)。

転職で一番気になるのが「給料」。でも、ネットの「平均◯万円」という数字だけを見ると、実態とズレることがよくあります。理由はシンプルで、訪問看護の給料は事業所によって差が大きいから。

この記事では、相場・給料の内訳・損しない求人の見方を、採用する側の視点も交えて正直に解説します。


まず「経営側はいくら出せるのか」から逆算してみる

給料の話は、事業所の売上構造から逆算すると一気に腑に落ちます。少しだけ、経営側のロジックを覗いてみましょう。

① 売上
訪問1件あたりの売上単価は、おおよそ7,000〜9,000円。仮に8,000円とします。利用者100名規模のステーションで、月の総訪問件数は400〜600件ほど。間をとって月500件とすると——

8,000円 × 500件 = 月の売上 約400万円

② 利益と運営費
健全な経営の目安として、利益率24%(約96万円)を確保するとします。すると運営に使えるのは、残りの約304万円。ここから家賃・車(または自転車)・保険料・電子カルテや勤怠システムの利用料・人件費などをまかないます。

③ 人件費
人件費は、運営費の約60%(約182万円)に抑えたいところ。これを配分すると——

月50万円の看護師 × 3名 + 事務員1名(20〜30万円)

このくらいに収まります。看護師3名で月500件なら、1人1日あたり6件弱の計算です。

つまり、標準的な働き方なら、看護師1人に出せるのは月50万円前後——これが相場の土台になります。

では、給料が上がるのはどんな人?

ここが重要です。「1日10件回れます」「体力があります」「クレームになりにくく、どんな利用者さんも担当できます」——こういう人なら、事業所は50万円以上を払ってでも来てほしい。肌感覚では、70万円あたりが相場のマックスです。

さらに、利益率を引き上げられる人、管理者を任せられて次の出店まで担えるような人材なら、給与水準は自然と上がっていく構造になっています。

裏を返すと、看護師としての臨床経験は、そこまで給料に直結しません。 市場が求めているのは「こなせる仕事の量」と「マネジメント能力」なのです。


病棟と訪問看護で、給料の「構造」がどう違うか

病院では、看護師が一定数いること自体に価値があり、報酬が支払われています。一方、在宅は「訪問1件あたりいくら」の世界。いわゆる労働集約型のビジネスモデルです。

だから、件数を多くこなせる人ほど市場価値が高く、給料も払いたい構造になっています。多くの事業所で、訪問件数によって手当が変動する給与条件が採られているのはこのためです。

イメージとしては、たくさん働きたい人はたくさん稼げて、のんびりやりたい人はそれなりに。頑張れば「病院時代より稼げている」という人のほうが多い、という感覚です。


給料の「内訳」を分解する

訪問看護の給料は、基本給だけではありません。内訳を知ると、「高い・低い」を正しく判断できます。

  • 基本給:病院と比べるとやや低めの傾向。訪問看護は「件数で稼ぐ」感覚です。
  • 訪問件数による手当(歩合):稼ぎたい人は、固定給が高いところより1件あたりの単価が高いところを選ぶほうが合っています。
  • オンコール手当(待機料+出動手当):オンコールが忙しい事業所ほど手当も高い傾向。ただし「出動は少ないのに電話対応だけやたら多い」ところは、眠れないのに手当もつかない、という構造があるので、実態を必ず確認しましょう。
  • 各種手当(資格・役職・地域など):資格手当は病院と同程度のイメージでOK。
  • 賞与:固定のところも、実績連動のところもさまざま。計算方法・支給時期・回数まで具体的に確認を。「1回の額かと思ったら、年間でその額だった」というのは、現場でよく聞く話です。

なぜ事業所によって給料が違うのか

訪問看護は、診療報酬の改定で売上が動く業界です。さらに、どんな加算を算定していくかで売上は大きく変わります。

転職の際は、自分の経験が、その事業所の算定・加算とマッチしているか——自分の強みを活かせるか、という視点で見てみるのも面白いポイントです。

訪問看護はきつい?」でも触れましたが、特に業績連動の賞与みなし残業は、給料目線でも要注意です。

理想は、「売上のロジックから、これくらい頑張ればボーナスはこのくらい期待できる」と具体的に説明できる面接官・管理職がいる職場。納得感と、頑張った見返りの実感がまるで変わってきます。逆に、ここを曖昧にされる事業所は、あとで「いいように使われた」と感じることが多いので、面接ではどんどん突っ込んで聞きましょう。


給料で損しないための、求人の見方

額面の数字だけで決めると、入職後に「思ったより少ない」となりがちです。採用する側として、必ず確認してほしいポイント:

  • 実働分の時間外手当が出るか(みなし残業込みの提示に注意)
  • オンコール手当と出動内容が見合うか:たとえば出動1回500円でも、重症の方や「長く話を聴いてほしい」ケースに当たると時間ばかりかかり、割に合わないと感じがちです。実際の出動ケースと所要時間を確認しておくと安心です。
  • 賞与の前年実績と今年度の見込み

残業時間の「目安」が記載されていても、実態と乖離しているケースがほとんどです。「この事業所の平均は? 一番少ない人で何時間、多い人で何時間?」まで聞けるとベスト。残業を是としない文化がない法人だと、平気で月60〜80時間こなしているところもあります。


手取りはどのくらいになる?

額面(総支給)からは、社会保険料や税金が引かれます。ざっくり、額面の約75〜85%が手取りの目安です(扶養や各種控除で変わります)。

正直な感覚として、手取りで40万円を超えたら御の字。末永く付き合える会社だと思います。

ただし、そこから先を上げたいなら、マネジメントに上がる以外に給料を上げる構造がそもそもないのが訪問看護です。拠点が多い事業所ほどポジションも多いので、「転職=ポジションを上げる」と捉えてキャリアを形成していくのが、収入を伸ばす現実的なルートになります。


よくある質問

Q. 訪問看護は給料が高い?低い?
A. 事業所差が大きく、一概には言えません。オンコールや手当の体制次第で、病棟と同等以上にも、それ以下にもなります。

Q. 未経験だと給料は下がる?
A. 経験給が反映されにくい分はありますが、基本給ベースなので極端には下がりません。まずは教育体制のある事業所を選ぶのが先決です。(→ 未経験から訪問看護に転職できる?

Q. 業務委託・フリーランスは稼げる?
A. 件数次第で高収入も可能ですが、保障や安定性は雇用と異なります。(→ 派遣・単発の働き方は別記事で)


まとめ:給料は「額面」より「内訳と働き方」で決まる

訪問看護の給料は、表面の数字より内訳・事業所選び・働き方(件数とポジション)で実態が決まります。仕組みを理解して条件を見極めれば、納得のいく待遇の職場は見つかります。

自分に合う条件の求人を探すなら、まずは“中の人がいる”転職サービスで比較するのが近道です。
訪問看護の転職に強いサイト比較はこちら

コメント

タイトルとURLをコピーしました