※ この記事は、現役で訪問看護の現場に立ち、スタッフの採用・教育にも携わる立場から書いています(→ 運営者情報)。
「訪問看護に興味があるけど、『きつい』『やめとけ』という声を見て不安…」——そう感じてこのページにたどり着いたのではないでしょうか。
先に結論から言います。訪問看護にきつい面は、確かにあります。 ただしそれは「誰にとってもきつい」のではなく、理由と対策を知れば、自分に向いているか・どんな職場なら大丈夫かが見えてきます。
採用する側・育てる側の両方を経験してきた立場から、良い面も悪い面も正直にお伝えします。
「訪問看護はやめとけ」と言われる5つの理由
1. 一人で訪問し、その場で判断する責任
病棟と違い、訪問先には基本的に自分一人。急変やイレギュラーがあっても、その場で判断・対応する必要があります。この「一人の責任」が、訪問看護で最初に感じるプレッシャーです。
正直に言うと、これは事実です。ただ、事実だからこそ、その不安やプレッシャーを最小限にする仕組みが整っている職場は少なくありません。慣れるまでは先輩や管理者が同行訪問してくれますし、訪問診療を一緒に運営している法人なら、医師と動くなかで「訪問看護での判断軸」が自然と身についていきます。最近は、その場ですぐ相談できるチャットツールも普及してきました。
実際のところ、「一人で訪問している」という孤独感は、思っているほど感じない——というのが現場の実感です。
2. オンコール・緊急対応の負担
多くのステーションでオンコール(夜間・休日の電話当番)があります。「いつ呼ばれるか分からない」という拘束感が、生活リズムに影響することもあります。
ただ本音を言えば、緊張するのは始めの1か月(数回)くらいです。対応の中身は日中の緊急対応と変わらないので、日中にしっかり自立した対応ができていれば、夜間でもほとんど困りません。 大事なのは「どこに連絡・相談するか」と、主治医側との調整です。判断が難しければ救急搬送という手段もあります。雰囲気に慣れるだけで、比較的短期間で自立できるはずです。
なお、オンコールの負担は事業所の体制によって大きく変わります(詳しくは後述)。
3. 移動の負担(天候・運転・時間)
1日に複数件を車や自転車で回るため、悪天候や交通事情、運転そのものが負担になる人もいます。
私は自転車訪問・車訪問の両方を経験しましたが、これは完全に好みが分かれるところだと思います。
自転車のつらさは、暑さ・寒さに加えて、雨風の日に「もう帰りたい…」と思うほどの過酷さ。一方、車は天候に左右されにくいものの、運転に慣れていない人にはかなりの苦痛のようです。住宅街の狭い道、ご自宅の狭い駐車スペース、そして万一の交通違反による違反金は、精神的なダメージが大きい。ただでさえ利用者宅で緊張感のある対応が求められるのに、移動で大きなストレスを抱えるのは相当こたえます。
「車が楽な人」と「自転車が楽な人」ではっきり分かれるので、自分に合った移動手段の職場を選ぶのがおすすめです。
4. 利用者・ご家族との距離の近さ
生活の場に入るぶん、関係は密になります。それがやりがいでもあり、難しさにもなります。
距離の近さで特に難しいのは、精神疾患やパーソナリティ障害をお持ちの方への訪問です。適切な距離感が保てないと、関係がこじれたり、依存を生んで四六時中の電話対応に追われることもあります。
「来てくれてありがとう」と言っていただけて、やっていてよかったと思える場面はたくさんあります。一方で、クレームや感情をぶつけられる場面もゼロではありません。そうした場面でも冷静に対応できる人のほうが、訪問看護には向いているかもしれません。
5. 給料・待遇が事業所でバラつく
訪問看護は事業所ごとに給与・オンコール手当・教育体制の差が大きく、「思ったより低かった」というミスマッチが起きがちです(→ 詳しくは「訪問看護の給料のリアル」で解説)。
採用する側として、面接前に確認しておいてほしいポイントは3つです。
- ボーナスが業績連動の場合は、前年度の実績と今年度の見込みを確認する。 訪問看護は診療報酬の改定で売上が大きく動く業界なので、ここは要チェックです。
- オンコールの担当回数を確認する。 スタッフ人数が多ければ1人あたりの回数を調整しやすい(やりたい人は多め、控えめにしたい人は少なめ)一方、人数が少ないと、断りにくい雰囲気のなかで多くの回数を負担することになりがちです。
- 「みなし残業」込みの提示に注意する。 月末・月初は計画書や報告書の作成で残業が発生しやすいので、実働分の時間外をきちんと支給してくれる事業所をおすすめします。
それでも続ける人が多い、訪問看護のやりがい
きつい面の裏返しで、訪問看護には病棟では得にくい魅力があります。
- 一人ひとりにじっくり向き合える:流れ作業ではなく、その人の生活に寄り添える。
- 自分のペース・裁量で動ける:時間に追われる病棟とは違う働き方。
- 「生活を看る」看護の本質:医療と暮らしの両方を支える実感。
- 感謝がダイレクトに届く:距離が近いぶん、やりがいも大きい。
そしてもう一つ、個人的に大きいと感じるのが人間関係の気楽さです。職場にいわゆる「お局」的な存在がいても、外に出てしまえば一人で気楽に動けます。病棟時代はシフトが出るたび、真っ先に夜勤のペア相手を確認していたものですが——訪問看護は、そこまで人間関係に神経をすり減らさずに働ける面があります。
「きつい」と感じやすい人・向いている人
向き・不向きを正直に。
きついと感じやすいかも
- 一人での判断より、チームで動くほうが安心な人
- オンコールの拘束が生活的に難しい人
- 運転が極端に苦手な人
向いている人
- 自分のペースで、じっくり看護したい人
- 生活を含めて人を支えるのが好きな人
- 自律的に考えて動ける人
(→ もっと詳しく:「訪問看護に向いてる人・向いてない人」)
実は「きつさ」の大半は“職場選び”で変わる
ここが一番伝えたいことです。同じ訪問看護でも、事業所によってきつさはまったく違います。 採用・教育をしている側として、これは断言できます。
きつくなりにくい職場の特徴:
- 教育・同行訪問の体制がある(特に未経験・ブランクには必須)
- オンコール体制が、無理のない人数で回っている
- 緊急時に管理者や医師にすぐ相談できる
- 直行直帰やシフトの柔軟性がある
逆に、ここが整っていない事業所を選ぶと、「訪問看護そのもの」ではなく「その職場」がきつい、という事態になります。
事業所の「規模」でも働きやすさは変わる
採用側の本音として、もう一つお伝えしておきたいのが事業所の規模です。
個人経営の小規模ステーションは、独自の「文化」ができあがっていたり、いわゆる“裏のボス”的な存在がいて、看護師としてのまっとうな意見が通りにくいことがあります。その文化にうまくフィットできないと、排他的に感じる場面も少なくありません。
一方、多店舗展開や1拠点が大きい事業所は、人間関係が比較的希薄で過ごしやすい傾向があります。万一「居づらいな」と感じても、近隣拠点への異動で一気に働きやすくなる、ということもよくあります。
そのため個人的には、まずはチェーン展開の事業所で訪問看護を知り、ある程度経験を積んだうえで「自宅の近くでゆっくりやりたい」と思えば小規模事業所に移る——という順番がおすすめです。
職場選びで失敗しないコツは、別記事で詳しくまとめています。 → 訪問看護の転職に強いサイトを現役が比較(複数のエージェントで“中の人がいる”ところを選ぶのが鉄則)
よくある質問
Q. 未経験でも訪問看護はきつい? A. 最初は不安が大きいですが、教育体制のある事業所を選べば乗り越えられます。実際、病棟からの未経験入職は珍しくありません。(→ 未経験から訪問看護に転職できる?)
Q. ブランクがあると厳しい? A. 同行訪問やフォローが手厚い職場なら復帰できます。(→ ブランクありでも復帰できる?)
Q. オンコールは必ずある? A. 事業所によります。オンコールなし・回数が少ない求人もあるので、条件で選べます。
まとめ:きつい面はある。でも「理由」と「職場選び」を知れば怖くない
訪問看護には確かにきつい面があります。でもその多くは、①自分に向いているかを知る ②きつくない職場を選ぶことで、かなり減らせます。
やりがいの大きい仕事です。一歩踏み出すなら、まずは“中の人がいる”転職サービスで、自分に合う職場を探すところから。 → 訪問看護の転職に強いサイト比較はこちら
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