※ この記事は、現役で訪問看護の現場に立ち、スタッフの採用・教育や事業所の運営にも携わる立場から書いています(→ 運営者情報)。
「訪問看護って、車?それとも自転車?」「運転が苦手だけど大丈夫かな…」——移動手段は、意外と大きな不安ポイントです。実はここ、地域や事業所によって大きく変わり、職場選びを左右する大事な要素。現役管理者の視点で、車と自転車のリアルをお伝えします。
車が多い?自転車が多い?——地域と事業所で変わる
移動手段は、地域や事業所の特性でだいたい決まります。
- 都内・都市部:駐車スペースの問題や渋滞などの交通事情から、自転車訪問が多い
- 医療に特化した事業所:医材や薬剤を常に持ち運ぶ必要があるため、自動車移動が一般的
- 地方:訪問範囲が広く、悪路や坂道もあるため自動車がメイン。休憩場所も少ないので、車内で休憩できる環境があると助かる
つまり「訪問看護=車必須」でも「=自転車」でもなく、どこで・どんな事業所で働くかで変わる、というのがまず大前提です。
車のメリットと大変さ
メリットは、なんといっても快適に移動できること。天候にも左右されにくく、自転車と比べて交通事故での死亡リスクが低い、という安全面もあります。
一方で大変さもあります。
- 予期しない渋滞で訪問が遅れてしまう
- 交通違反による違反金の支払い、場合によっては免停のリスク
- 都市部では、駐車場所を探す苦労
- ペーパードライバーへの援助も必要になる
ペーパードライバー対策として、運転手付きで免許なしの看護師を採用しているところや、入職前後に教習所で安全運転講習を受けられる機会を提供している事業所もあります。ただ、この整備には経営層の理解が要るので、事業所によって差が出る部分でもあります。
自転車・徒歩のメリットと大変さ
メリットは、車が通れないところも走れること。住宅街や都市部の訪問に適しています。交通状況の影響を受けないので、予定通りに訪問できるのも強みです。
大変さは、やはり天候。悪天候や雷などの危険があり、危ない場合は訪問をキャンセルしたり、振り替えたりしなければなりません。ただ、どうしても毎日訪問しないと生きていけない患者さんもいらっしゃるので、そういうときのために社用車を1〜数台抱えている事業所もあります。あと地味に大変なのがパンク。プライベートで使う以上の頻度で起きるので、訪問が止まらないようどう対策するかが、実は事業所の課題だったりします。
移動時間の過ごし方・効率化
移動時間の使い方も、最近はだいぶ変わってきました。クラウド型のカルテや記録サービスが増えているので、訪問の合間にわざわざ紙カルテに記録する必要はほぼありません。音声入力も少しずつ普及していて、記録は訪問中か訪問直後にほぼ完結できるようになってきています(記録の詳細は訪問看護の記録・書類のリアルへ)。
予定より早く回れたときは、最後の患者さんや近くの患者さんに「早めに伺えないか」と交渉することもあります。一方で、訪問キャンセルなどで時間ができたら休憩したい、というスタッフもいます。多くの事業所は「訪問さえしっかり回ってくれれば、空いた時間は自由に過ごしてOK」というスタンスです。件数と時間の使い方は1日の訪問件数のリアルもあわせてどうぞ。
運転が苦手な人へ——職場選びの着眼点
ここが一番大事な人も多いはず。本音を言います。運転が苦手な人には、”車に乗らずに訪問できる事業所”への就職を強くおすすめします。
理由は明確です。車をぶつけてしまったり、違反をしてしまったりすると、精神的にも経済的にも大きな負担になります。しかも、慣れない職場で、看護とは関係ない”運転”のところで落ち込むと、離職リスクが非常に高くなる。せっかくの看護のやりがいが、運転で台無しになるのは、あまりにもったいない。だから私は「無理して運転する職場を選ばないほうがいい」と思っています。
ただし、自転車だと持ち運べるリソースは限られます。「最先端の医療をやりたい」「急変にもすぐ対応できる看護師になりたい」という思いが強いなら、運転も頑張る価値はあります。その場合は、入職前に自己負担で運転の練習に行く、そして会社に運転技術の補助制度があるか確認して積極的に活用するのがおすすめです。
ちなみに——事業所によっては、事故を起こしたスタッフは自己負担で安全運転講習を受けるというルールのところもあります。大きな規模の会社では、事故の件数や度合いによって年間数千万円単位で保険料が変動するため、経営側にとっても運転は非常にシビアな問題なのです。運転が絡む職場を選ぶなら、この”運転への向き合い方”が整っているかも、見ておくといいでしょう(→ 訪問看護ステーションの選び方)。
まとめ
- 移動手段は地域と事業所次第。都市部は自転車、地方・医療特化は車が多い
- 車は快適・安全だが、渋滞・違反・駐車・ペーパー問題も
- 自転車は予定通り動けるが、天候とパンクが弱点
- 記録はクラウド+音声入力で移動の合間に完結できるように
- 運転が苦手なら「車なしで訪問できる事業所」を選ぶのが賢明
移動手段は、毎日のことだからこそ、働きやすさに直結します。「運転が苦手だから訪問看護は無理」と諦める前に、自分に合った移動スタイルの事業所を選ぶという発想を持ってみてください。それだけで、訪問看護はぐっと身近になります。1日の働き方の全体像は訪問看護師の1日のスケジュールもどうぞ。

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