【現役管理者が本音】訪問看護にノルマはある?1日の訪問件数の目安ときつさのリアル

※ この記事は、現役で訪問看護の現場に立ち、スタッフの採用・教育や事業所の運営にも携わる立場から書いています(→ 運営者情報)。

「訪問看護ってノルマがあるの?」「1日何件も回されてきついんじゃ…」——転職を考えるとき、件数のプレッシャーは大きな不安のひとつです。

結論から言うと、明確な“ノルマ制”を敷いている事業所はほとんどありません。ただし、件数には「相場」と「ちょうどよさ」があります。これを知っておくと、無理な件数を課すブラックな事業所も見抜けるようになります。件数を管理する側の立場から、働く人目線で本音をお伝えします。(給料そのものの仕組みは訪問看護の給料のリアル、事業所の健全性の見極めはステーションの選び方もどうぞ。)

訪問看護に「ノルマ」はある?

個人に厳密なノルマを課している事業所は、ほとんどないと思います。ただ、経営が成り立つ“目安の件数”はあります。ざっくり言うと——

  • 看護師一人あたり月100件=1日5〜6件回れれば、まず十分
  • 可能なら1日10件で最大効率。8〜10件あると経営的にはかなり良い

ここで知っておいてほしいのは、この数字へのプレッシャーは、基本的にマネジメント層(管理者)が経営側から受けるものだということ。現場スタッフに「ノルマ未達だ」と直接迫る事業所は健全ではありません。スタッフ一人ひとりがノルマに追われる構図ではない、というのが実態です。

1日の訪問件数、普通は何件?

「普通は何件か」は、正直一概には言えません。移動手段や事業所の形態で大きく変わるからです。目安はこんな感じです。

  • 自転車移動:5〜6件(8〜10件回れたら、かなり収益性が高い優秀なステーション)
  • 車移動:8〜10件回れるといい感じ
  • 施設併設型:15件前後も普通(同一施設内で移動がないため。8時間勤務・1件30分なら最大16件くらいがマックス)

※ ただし施設併設型は、同一施設で複数人を診ると報酬が減算される仕組みがあるため、事業所としては件数を維持したい事情があります。「件数が多い=そのままきつい」とは限らず、移動がない分ラクな面もある、と理解しておくといいです。

件数の“ちょうどよさ”——多すぎも、少なすぎもダメ

働く側として一番気持ちよく回れるのは、午前2〜3件、午後2〜3件で戻ってきて、残りの時間を記録・計画書・報告書に充てるレンジ。多くの人が「ちょうどいい」と感じる件数です。

ただ、ここが面白いところで——件数は少なすぎても問題です。以前から言っているのですが、1日2〜3件しかないような事業所は、むしろ危険。経営的に厳しいのはもちろん、暇だと事業所の人間関係が一気に悪くなるからです(理由は訪問看護の人間関係で詳しく書きました)。なので肌感としては、1日8件くらいを目標に回れるのが、収益性と働きやすさのバランスがいいと思っています。

「ブラックな件数設定」の見抜き方

正直に言うと、求人票から無理な件数設定を見抜くのは難しいです。「件数」の数字だけでは、きついかどうかは判断できません。代わりに見るべきは、面接の場の“人”です。

  • 面接にその事業所の管理者がおらず、上長や経営層だけが出てくる→ 危険なサイン。現場を回す管理者が面接に出られない状態の可能性がある
  • 管理者がオーバーワークで体調を崩している、あるいは人手不足で訪問に回されている→ そのしわ寄せは、入職後あなたにも降りかかってくる

件数の数字そのものより、「その件数を、無理なく回せる体制が整っているか」を、面接で人の様子から感じ取るのがコツです。

件数で稼ぐ仕組みと、“詰め込みすぎ”の罠

インセンティブ(件数に応じた手当)を設定している事業所なら、件数を伸ばすほど稼げるようになります。ただし、詰め込みすぎには罠があります

訪問を詰め込みすぎると、月末・月初の計画書や報告書の作成に充てる時間が削られていくのです。残業も作業負荷もまったく気にならないタイプなら、ガンガン件数を取って稼ぐのもアリ。でも、書類業務に追われて疲弊するなら本末転倒です。最近はAIが計画書や報告書を自動で作ってくれるサービスも出てきているので、そういうツールに頼れる事業所だと、件数と書類のバランスが取りやすくなります。職場選びのときに「記録・書類の効率化をどうしているか」を聞いてみるのもおすすめです。

これから入る人へ——件数は「慣れてから」でいい

最後に、これから訪問看護に入る人へ。最初から件数を飛ばす必要はありません。むしろ無理です。

訪問は、回る利用者さんも、1日の順番も、ほぼ決まっています。患者さんごとの注意点や介入内容も決まっているので、同じ利用者さんに数回同行できれば、すぐに慣れます。だから、初月から「稼ぐぞ!」は少し無理がある。経験者でも、2か月目以降から徐々にエンジンをかけていくくらいのイメージで大丈夫です。焦らず、自分のペースを作っていきましょう。未経験から入る場合の慣れ方は未経験から訪問看護に転職できる?もあわせてどうぞ。

まとめ

  • 厳密なノルマ制の事業所はほぼない。件数プレッシャーは基本、管理者が経営側から受けるもの
  • 件数の目安は、自転車5〜6件/車8〜10件/施設併設型は15件前後
  • 多すぎも少なすぎもNG。1日8件くらいが収益性と働きやすさのバランス
  • ブラックは求人票より「面接に管理者がいるか/疲弊していないか」で見抜く
  • 件数は慣れてから。経験者でも2か月目以降にエンジンをかけるくらいでOK

件数は「ノルマに追われるもの」ではなく、「自分のペースと事業所選びでコントロールできるもの」です。数字に怯えるより、無理なく回せる職場を選ぶこと。それが、長く気持ちよく働く一番の近道です。

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