【現役管理者が解説】訪問看護師の仕事内容・できる医療処置|基本ケアから点滴・人工呼吸器まで

※ この記事は、現役で訪問看護の現場に立ち、スタッフの採用・教育にも携わる立場から書いています(→ 運営者情報)。

「訪問看護師って、実際どんな処置をするの?」「どこまでできるの?」——転職を考えるとき、仕事内容のイメージがつかめずに不安になる方は多いと思います。

この記事では、訪問看護師が現場で実際に「手を動かしてやること」を、基本ケアから医療処置まで具体的にお伝えします。「どこまで一人で判断するか」という観点は訪問看護師はどこまで1人で判断する?にまとめているので、本記事はその対になる”手技編”として読んでください。

毎回の基本ケア——バイタル・観察・服薬・排泄

どの利用者さんにも共通する、毎回の基本ケアから。

  • バイタル測定:必須です
  • 観察:主病名に対する解剖生理・病態に関連した注意点を観察。直近でイベントがあれば、その経過も記録に残す
  • 清潔ケア:訪問時にマストの場合もあれば、目の前で発生したもの(汚染など)に対応することも

服薬状況の確認は、毎回しておきたい大切なケアです。報酬改定でも、残薬のチェックや服薬状況の確認、記録への記載が必須になりました。単に「飲めていますか」だけでなく、どんなタイミングで飲み忘れるのか、なぜ飲みにくいのか、その背景までアセスメントして対策を考えます。残薬が多い場合は、不要な処方がされないよう主治医へ報告し、契約している薬局があればそちらへも共有します。

排泄状況も必ず確認します。便秘が続いていれば対応が必要ですし、長く便秘していると急を要する事態につながる可能性があるため、早め早めの対応を心がけます。

褥瘡(じょくそう)の処置——洗浄・薬剤・保護と観察

在宅でよく行う処置の代表が、褥瘡のケアです。基本は「洗浄 → 指示薬剤の塗布 → 保護」の流れ。保護ひとつとっても、ガーゼの選定、フィルム剤を使うのか、優肌絆などのテープ固定でよいのか——状態をアセスメントして選びます。

観察も重要です。次のような点を毎回チェックします。

  • 浸出液の量や性状、悪臭の有無(=感染兆候がないか)
  • 悪化していないか、不良肉芽の付着状況
  • ポケット形成がある場合は、その深さや方向

よくやる医療処置と「頻度」のしくみ

訪問看護でよく出会う医療処置は、おおむね次のようなものです。

  • 点滴・採血・注射、インスリン管理
  • 各種カテーテル(膀胱留置カテーテルなど)の管理
  • 在宅酸素、吸引
  • 経管栄養(胃ろうなど)
  • 褥瘡処置
  • 人工呼吸器の管理

頻度は患者さんごとにさまざまですが、ここに制度上のしくみがあります。人工呼吸器がついている方など、「別表7」と呼ばれる重症の疾患群では、医療保険で1日に複数回の訪問が可能になります。別表7・別表8、いわゆる”在がん”(在宅がん医療総合診療)の対象となる方は、頻回に訪問が必要なケースが多くなります。その分、重症度も高い——とイメージしてもらえればと思います。

リハビリ的な関わりはどれくらい?

状態が落ち着いている方や、介護保険の予防介護で介入するケースでは、リハビリ中心の関わりになることもあります。ただ、これは「どれくらいの割合か」というより、ステーションの方針次第です。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などのセラピストが中心の、リハビリメインのステーションもあります。

医療依存度の幅は「軽度〜超重症」まで

訪問看護が関わる方の医療依存度は、軽度から重度まで、本当に幅広いです。そして、どの層を中心に受け入れるかも、ステーションの方針によって分かれます。重症度の高い方を多く受け入れるなら、それに見合った技量のスタッフをそろえる必要があります。

つまり、「自分がどんな医療処置に関わりたいか/どのレベルまでやりたいか」で、選ぶべきステーションが変わってきます。職場選びの軸のひとつとして、ぜひ意識してみてください(→ 訪問看護ステーションの選び方)。

病院の処置と何が違う?

使用する医療薬剤は、病院と同じものを使います。では何が違うかというと、「在宅ならではの環境」と「介護面の工夫」です。

  • 物品の制限:たとえば陰部洗浄も、専用ボトルではなくペットボトルで代用したり。あるものでやりくりする工夫が要る
  • 更衣の対応:病衣と違い、いろいろなタイプの普段着があるので、それぞれに合った更衣の方法に対応する
  • 住宅環境への対応:手すりの有無、段差の有無など環境はバラバラ。「どう安全にトイレまで行くか」といった、介護面・ADL介助の部分に大きな違いが出る
  • スペースの問題:物品を置く場所や、処置するスペースの確保に工夫が要ることもある

もちろん大前提として、抗がん剤治療や手術、MRI・CTなどの検査は在宅ではできません。そうした医療が必要になれば、受診や入院につなぎます。「医療処置そのもの」より、「その人の暮らしの中で、どう安全にケアを成立させるか」——ここが、病院との一番の違いであり、訪問看護の腕の見せどころです。

まとめ

  • 基本ケアはバイタル・観察・清潔・服薬確認・排泄確認。服薬は背景までアセスメント
  • 褥瘡処置は「洗浄・薬剤・保護」+感染兆候やポケットの観察
  • 点滴・カテーテル・在宅酸素・吸引・経管栄養・人工呼吸器など。別表7等は頻回訪問
  • リハビリ中心も。医療依存度の幅は広く、受け入れ層はステーション次第
  • 薬剤は病院と同じ。違いは在宅環境・介護面・ADL介助・物品の工夫

訪問看護の処置は、病院で培った技術がそのまま活きます。そのうえで、「暮らしの中でどう成立させるか」という在宅ならではの工夫が加わる——だから面白い。仕事の全体像は訪問看護師の1日のスケジュール、判断の範囲はどこまで1人で判断する?もあわせて読むと、仕事のイメージがぐっと立体的になります。

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