【現役管理者が本音】訪問看護師の時計はどうする?|ナースウォッチを買わなくていい理由と現場の最適解

訪問看護の仕事・働き方

※ この記事は、現役で訪問看護の現場に立ち、スタッフの採用・教育や事業所の運営にも携わる立場から書いています(→ 運営者情報)。

訪問看護を始めるにあたって「ナースウォッチ(逆さ時計)を買ったほうがいいのかな」と思っているあなたへ。先に結論を言うと、私は新人のころ、うれしくてナースウォッチを買って、電池が切れたきりお蔵入りにしました。そして今の現場で逆さ時計を使っている人を、ほとんど見ません。ではみんな何で時間を見ているのか——現場の実態をそのままお伝えします。

まず前提:病院でも腕時計は「禁止」ではありません

ナースウォッチが生まれた背景として「病院は腕時計禁止だから」と語られることがありますが、日本の一般病棟で腕時計が一律禁止ということはありません。外すのは、手術室・救急・集中治療のように処置に入る場面です。

そして訪問看護は、そこも含めて基本的に自由です。服装と同じで、時計についても事業所から細かく指定されることはまずありません。つまり「訪問看護だから専用の時計が必要」という前提が、そもそも成立していないんです。

現場で実際に使われているもの

うちのスタッフを見ていて多い順に挙げると、こうなります。

  • 腕時計(普通の腕時計)
  • スマートウォッチ
  • スマホ(時計を着けず、必要なときに見る)

私自身はスマートウォッチで、着けていない日はスマホで確認しています。逆さ時計(ナースウォッチ)は、ほとんど見かけません。

スマートウォッチが実は一番強い理由

訪問看護でスマートウォッチが効くのは、時間が「見られる」からではありません。時間を「知らせてくれる」からです。

私がやっているのは、こういう使い方です。

  • 訪問に入るとき、30分後にサイレントアラームをセットしておく
  • 時間が来ると手首がバイブレーションで教えてくれる
  • 音は鳴らないので、利用者さんとの会話を切らずに、自然に切り上げに入れる

訪問看護は滞在時間が決まっている仕事です。話が盛り上がって時間が押す、というのは誰にでもあります。チラチラ時計を見るのは失礼ですし、かといって時間を超えれば次の訪問に響く。この矛盾を、振動というかたちで静かに解決してくれるのがスマートウォッチです。時計というよりタイマーとして使っている感覚に近いですね。

スマホで時間を見るのはアリ?──答え: アリです

「利用者さんのお宅でスマホを出したら、サボっていると思われないか」と心配する人がいますが、これは大丈夫です。今は記録もスケジュールもスマホやタブレットで扱う時代なので、業務の道具として自然に受け入れられています。時計を着けたくない人は、スマホだけで十分に回せます。

ただし「秒」は見られたほうがいい

ひとつだけ、機能面の条件があります。秒がわかること。

脈拍や呼吸数を数えるとき、やはり秒針(またはデジタルの秒表示)があったほうがいいです。逆に言えば、条件はそれくらい。秒が見られれば、あとは何でもいいというのが現場の実感です。

時計は「時間を見る道具」だけではない

訪問中に時間を確認する場面を挙げると、こうなります。

  • 滞在時間の管理(決められた時間内でケアを組み立てる)
  • 次の訪問からの逆算(移動時間を含めて間に合うか)
  • 利用者さんに聞かれたとき(「今何時?」は普通にあります)
  • 認知症の方への見当識の補充——今が何時なのかをお伝えすることが、そのままケアになる場面があります

最後のものは、病棟にいた頃はあまり意識しなかった使い方でした。時計が看護の道具になる瞬間が、在宅にはあります。

時間管理は、実は病棟よりシビアではない

意外に思われるかもしれませんが、時間の切迫感は病棟のほうが上だと感じています。理由は単純で、訪問看護は同時に何人もの患者さんを並行して対応する場面が少ないから。目の前の一人に集中できます。気にするのは「次に間に合うか、間に合わないか」くらいです。

遅れそうなときは、連絡と巻きの両方で対応します。急変などでその場を離れられないときは、次の訪問を振り替えたり、別のスタッフに行ってもらったり。事業所によっては連絡を事務スタッフにお願いできる体制になっているところもあります(これは職場選びで地味に効くポイントです)。

ここは厳密に:記録の時刻はごまかせない

時間の「感覚」はゆるくても、記録に書く時刻は厳密です。記録上の訪問時刻と実際の滞在時間がずれると、当然ながら問題になります。実際に訪問した時間で記載する——これは絶対です。

法人によっては、訪問の開始と終了のタイミングでGPSの位置情報を送信する仕組みを入れているところもあります。管理する側から見れば正確性の担保ですし、働く側から見れば「後から記憶で書かなくていい」という利点でもあります。

時計の失敗談(実体験)

  • 安い防水時計をじゃばじゃば洗って壊した——防水と書いてあるからと油断して、手洗いのたびに水をかけていたら普通に壊れました。防水の等級は思っているより幅があります
  • ナースウォッチは電池が切れて終わった——新人のころ買ったものの、電池の減りが早く、交換が面倒で、一度切れたきりお蔵入り。使わなくなった理由が「壊れたから」ですらないのが、正直なところです

結局、何を選べばいいのか

新人さんに「時計どうしたらいいですか」と聞かれたら、私はまず「好きなものでいいよ」と答えます。訪問看護は自由なので。ただし、そのあとに必ず条件を足します。

  • 高価なもの・精密なものは避ける——最悪、便が付く可能性があります。排泄物や痰が付着することもある仕事です。気に入っている高い時計を着けていく場所ではありません
  • 防水・耐衝撃が高いもの——手を洗う回数が多く、ぶつける機会も多い
  • 秒が見られること
  • 具体的にはスマートウォッチやG-SHOCKのような耐久系が現実的。スマホだけでも十分です

まとめ:ナースウォッチは、買わなくていい

  • 病院でも腕時計は一律禁止ではないし、訪問看護は完全に自由。専用品が必要な前提が成立していない
  • 現場に多いのは腕時計・スマートウォッチ・スマホ。逆さ時計はほとんど見ない
  • スマートウォッチのサイレントアラームが、訪問看護には一番効く(時間を見る道具ではなく、知らせる道具として)
  • 条件は「秒が見られる・防水耐衝撃・高すぎない」の3つだけ
  • 時間の感覚は病棟よりゆるいが、記録に書く時刻は厳密

靴のときも、バッグのときも同じ結論でしたが、時計もまた同じです。「看護師用」と名前が付いた専用品を買う必要は、訪問看護ではほとんどありません。現場で起きることから逆算すれば、答えはたいてい身近なところにあります。

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