【経営する側が本音】精神科訪問看護の給料・求人事情|身体の訪問との違いと「危ない求人」の見抜き方

※ この記事は、現役で訪問看護の現場に立ち、精神科訪問看護や事業所の運営・採用にも携わる立場から書いています(→ 運営者情報)。

「精神科訪問看護って、身体の訪問より給料は下がるの?」「求人はどこを見て選べばいい?」——転職を本気で考えると、お金と職場選びが気になってきます。

結論を先に言うと、給料は身体の訪問看護と大きくは変わりません。むしろ精神科訪問は収益性が高く、給料に回せる余白は大きいビジネスモデルです。ただし、求人選びには精神科ならではの落とし穴があります。経営・採用する側の立場から、給料の実態と求人の見抜き方を本音でお伝えします。(仕事の全体像は精神科訪問看護とは?を先にどうぞ。)

精神科訪問の給料は、身体の訪問と比べてどう?

精神科訪問看護は、利益率が20〜50%ほどと高水準なビジネスモデルです。そのため、給料として出せる余白は比較的大きいと思っています。

ただし、その余白がそのまま全部給料になるわけではありません。事業所側には、多店舗展開のための資金を確保したい、事業拡大の資金調達に向けて信用を高めておきたい、といった事情もあります。とはいえ、「精神科だから給料が大きく違う」ということは基本的にありません。強いて言えば、ポジションが上がるほど、昇給の幅に事業所ごとの大小が出てくる可能性はあります。給料の基本構造は訪問看護の給料のリアルと共通なので、あわせて読むと理解が深まります。

オンコールが少ない=収入は下がる?

精神科訪問は、24時間対応やオンコールが少ない傾向があります。「夜間手当が減る分、収入も下がるのでは?」と心配する人もいますが、ここは安心してください。日中の訪問単価が高いので、トータルでは同水準を維持できていることが多いです。

一つだけ違いを挙げるなら、「今月はたくさん出動して稼ごう」といった、収入を自分で上乗せするコントロールの自由度は効きにくいかもしれません。オンコール出動で稼ぐ、という手段が少ないからです。逆に言えば、夜間に振り回されず、生活リズムが安定する。収入が読みやすく、働き方がおだやかなのは大きなメリットです。

精神科特化ステーションの求人、ここを見る

求人を選ぶときは、「どんな疾患の患者層に、どんな関わりをするのか」を必ず確認しましょう。ホームページやSNSに、1日のスケジュールや訪問の様子の動画があれば、ぜひチェックしてください。

見極めのコツは、患者さんの構成を具体的に答えてくれるか。たとえば「どんな患者さんが多いですか?」と聞いたときに——

「統合失調症が6割くらい、双極性障害が3割、人格障害が5%、残りが認知症ですね」

このように具体的に示してくれるところは、信頼できます。地域の特色によって認知症高齢者の割合が多めの事業所もありますが、「メインはしっかり精神科を見ています」というところを選ぶのがおすすめです。

注意:「精神科の看板で、中身は認知症介護」になっていないか

これは精神科特化ステーションを選ぶうえで、特に気をつけたい落とし穴です。認知症高齢者の介護のために精神科の診断名をつけて、実際は介護メインで介入している——というパターンが存在します。こういう患者さんばかりの担当になると、「せっかく精神科を選んだのに、これでは意味がない」となりかねません。

背景にはこんな事情があります。介護者に手を出す、怒鳴る、ケアを拒否する——そうした理由で身体科の訪問看護では対応できず、「精神科の訪看でお願いできないか」と回ってくる依頼が結構あるのです。これは病気というより本人の性格の問題が大きいケースもあり、関わりにかなり苦労します。本当に困っている事例なら請け負うべきだと思いますが、こうした難しいケースをたくさん抱えすぎると、こちらのキャパシティがオーバーする危険もあります。求人選びの段階で、このあたりのバランスを見極められると安心です(職場の見抜き方全般は訪問看護ステーションの選び方へ)。

精神科訪問の報酬・制度の特徴(実務目線)

制度面でも、身体の訪問看護とは違う特徴があります。

  • 「精神科訪問看護指示書」が必要:通常の指示書ではなく、専用の指示書が要る。そのため主病名が精神疾患である必要がある
  • 複数名訪問・短時間訪問の指示をもらっておけると、対応のコントロールの幅が広がる

複数名・短時間の指示が活きる場面は、たとえばこんなケースです(いずれも患者さんにとって必要であることが大前提)。

  • 拒否が強いので、短時間での訪問が望ましい
  • 暴力の既往があり、長時間の接触が危険なので短時間にする/複数名で訪問する
  • 感染症があるため短時間にする
  • 体格が良く、ケアに複数名が必要

こうした指示を適切に得ておくことが、安全と収益の両面で効いてきます。安全管理の実際は精神科訪問看護はきつい?(身の守り方)でも書いています。

需要と将来性、身につくもの

将来性は、かなり明るいと思っています。国の方針として、精神科の入院患者さんを積極的に地域へ返していく流れがあるからです。つまり、精神科訪問看護の需要はまだまだありますし、社会的にもそうしていかなければならない領域です。

身につくもの——というより、目指せる道は2つあります。看護師として精神科を極める道と、ビジネスマン(経営者)として極める道。どちらに進むかは、その人次第です。精神科訪問は、専門性も経営・マネジメントの視点も、どちらも伸ばせるフィールドです(キャリアの広げ方は訪問看護師のキャリアパスも参考に)。

どんな人に精神科特化はおすすめ?

一つ、はっきり言えることがあります。「看護の技術にはあまり自信がない。でも訪問看護はやりたい」という人には、精神科特化が一択だと思います。

精神科訪問は医療処置がほとんどなく、勝負どころは技術ではなく「人としての関わり」だからです。会話や関係づくりに喜びを感じる人、技術より人と向き合いたい人にとって、これ以上ない居場所になります。自分に合うか迷う方は訪問看護に向いてる人・向いてない人もあわせてどうぞ。

まとめ

  • 給料は身体の訪問と大きく変わらない。収益性が高く、給料に回せる余白は大きい
  • オンコールは少ないが、日中単価が高く収入は同水準。働き方はおだやか
  • 求人は「患者構成を具体的に答えてくれるか」で見極める
  • 「精神科の看板で中身は認知症介護」になっていないか要注意
  • 精神科訪問看護指示書が必要。複数名・短時間の指示で安全と収益を両立
  • 地域移行の流れで需要は大。技術より人と関わりたい人に最適

精神科訪問看護は、収入を保ちながら、おだやかな働き方と深いやりがいを両立できる領域です。あとは「中身がしっかり精神科か」を見極めて職場を選べば、後悔のない選択ができるはずです。

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