※ この記事は、現役で訪問看護の現場に立ち、スタッフの採用・教育にも携わる立場から書いています(→ 運営者情報)。
「訪問看護に転職したいけど、後悔したらどうしよう」——大きな決断の前に、誰もが不安になります。実際に「後悔した」という声があるのも事実です。
でも、採用も退職も数多く見てきた立場から正直に言うと、後悔の正体は「訪問看護そのもの」ではなく、ほとんどが「職場選び」と「準備不足」です。ここを外さなければ、後悔はかなりの確率で避けられます。この記事では、後悔する人・しない人の違いと、入職前にやっておくべきことを、採用側の本音でお伝えします。
大前提:「看護の内容」で後悔する人は、ほとんどいない
最初に、いちばん大事なことを。辞めていく人の理由を見ていると、「訪問看護の仕事内容そのもの」が原因で後悔する人は、ほとんどいません。むしろ、訪問では皆さんのびのびと看護をしている印象です。
病院だと「こんな医療でいいのか」「患者さんに時間をとってあげられない」「ナースコールが鳴っているのに対応する余裕がない」——こうした看護・医療そのものへの葛藤が退職理由になりがちです。訪問はそこが解放されやすい。つまり、後悔の原因は別のところにある、ということです。
後悔する人の典型パターン
では、何で後悔するのか。よくあるパターンはこれです。
- 「件数=お金儲け」としか受け取れない:株式会社である以上、事業として利益も追います。そのため「件数、件数でしんどい」「会社はお金のことしか考えていない」と感じてしまう人がいます。ここが一番ギャップを感じやすいところです
- ボーナスが思ったより少なかった:賞与の仕組みを確認しないまま入って、想定とのズレに後悔する
ただ、ここは冷静に考えてほしいところで——患者さんを守り続けるには、事業所が健全に存続することが必要で、そのためにお金は大事です。これを落とし込めずに病院から来る人は、一定数つまずきます。逆に言えば、ここを理解できれば後悔はぐっと減ります。そして賞与や給与の構造は、入職前に必ず確認できることです(→ 訪問看護の給料・ボーナスのリアル)。看護の内容で辞める人がほとんどいない以上、後悔の多くは「転職時の調査不足」が原因だと感じています。
後悔の正体は、たいてい「職場選び」
もう一歩踏み込むと、後悔の根っこは「その事業所を選んだこと」にあります。「訪問看護そのもの」ではなく「その職場」が問題だった、というケースが本当に多い。典型例を挙げます。
- 「教育体制あります」が看板倒れ:大手で「教育体制が整っています」と謳っていても、実際は拠点に人がおらず、ちゃんと教えてもらえないことがある
- キーパーソンが抜けて崩れる:仕事ができる人はすぐ上のポジションに上がって現場を離れる。リーダー的な人がいなくなった途端、事業所の人間関係が悪くなる
- 「決めてくれる人」がいない不安定さ:守ってくれる人、最後に判断を決めきってくれる人が不在で、現場がふわふわしている
正直なところ、訪問看護はまだ業界として発展途上な面もあります。だからこそ、どの事業所を選ぶかで、働きやすさは天と地ほど変わります。後悔を避ける鍵は、ここを見極めること。職場の見抜き方は訪問看護ステーションの選び方に詳しくまとめています。
逆に「来てよかった」人の共通点
では、後悔せず「来てよかった」と言う人は何が違うのか。共通しているのは、自分でルールや決まり事を作っていける人、あるいはそういう人がすぐ近くにいる環境で働けていることです。そういう場だと、仕事が一気にやりやすくなり、「看護を存分にできている」と実感できます。やはり、看護が楽しいと思えることが何よりです。
業務のことも人間関係も、うまく調整できる人の近くで働けるかどうか。そういう雰囲気・文化がある職場が理想です。見極めのヒントとして、見学やOJT、日々の職員同士の会話の中でこんな言葉が自然に飛び交っているかを見てください。
- 「マニュアルではどうなってる?」
- 「これ、規定あったっけ?」
- 「そんなルール、あったっけ?」
こういう言葉が聞ける職場は、物事を仕組みで整えようとしている証拠。属人的でなく、迷ったときに立ち返れる土台がある——そういう事業所は、後悔しにくいです。
後悔を避ける具体策——入職前に、これをやってほしい
採用する側として「これさえやっておけば防げたのに」と思うことを、はっきり書きます。
入職前に、できれば見学する。それも訪問に同行させてもらうのが一番です。採用する側にとっても、言葉で説明するより実際を伝えられる絶好の機会で、知って・感じたうえで決めてもらえるのは大歓迎です。職場という「箱」ごと自分にフィットするかは、雰囲気や実態を肌で確かめないと分かりません。
逆に、あまり考えず・調べず・質問せずに入職した人ほど、「こんなはずじゃなかった」と辞めていきます。面接をしていても、「この人あまり調べていないな」「ホームページすら見ていないな」というのは、すぐに分かります。さらに、「誰かがやってくれるだろう」「教えてもらっていない」「聞いていない」といった他責・他力本願の傾向がある人は、入職後もつまずく確率が高い。こういう方の採用には、正直、消極的にならざるを得ません。
つまり裏を返せば——しっかり調べ、質問し、見学して、自分の頭で「ここに決める」と納得して入る人は、後悔しにくいのです。面接でいい印象を残すコツは訪問看護の面接対策もあわせてどうぞ。
タイミングの後悔——「早く辞めたい」だけで動くのは危険
もう一つ、決断のタイミングについて。前職をとにかく早く辞めたくて急いでいる人は、危ういなと感じます。焦りだけで決めると、職場選びの調査がおろそかになり、結局またミスマッチを繰り返しやすいからです。
せめて、失業保険をもらいながらじっくり考える、別の場所でつなぎつつゆっくりキャリアを練る——そんな余裕が持てると、選択の精度が上がります。そして「訪問看護ならどこも同じ」と思っている人もいますが、これは大きな誤解です。事業所や法人の方針によって、雰囲気も働き方も記録の仕方も残業の有無も、本当にさまざま。だからこそ、「なぜ“この事業所”がいいのか」を自分で明確にできる転職活動を心がけてください。それができている人は、後悔しません。
まとめ:迷っているなら、思い立った今がいちばん早い
後悔しないためのポイントを整理します。
- 後悔の原因は「看護の内容」ではなく、ほとんどが「職場選び」と「準備不足」
- 事業所の「教育体制あります」は鵜呑みにしない。見学・同行訪問で実態を確かめる
- 調べ・質問し・納得して入る人は後悔しない。他責の姿勢は後悔のもと
- 「早く辞めたい」の焦りだけで動かない。「なぜ“ここ”か」を言語化する
最後に、採用する側から本音を一つ。「もっと経験を積んでから訪問看護に行きたい」——そう考えている方は多いですが、正直に言うと、その“準備が万全になる日”は来ません。看護は、経験を積めば積むほど自分の至らなさを感じる世界で、10年やっていても「分からないことだらけだな」と思うものです。
だから、「訪問看護をやりたい!」と思ったら、飛び込んでしまいましょう。3年の経験でも、30年のベテランでも、新しい挑戦に不安と努力がついてくるのは同じです。素晴らしい世界が待っています。思い立ったら、早いうちがいい。患者さんも、きっとあなたを待っています。
「自分に向いているかな」と迷う方は訪問看護に向いてる人・向いてない人を、まず職場選びから知りたい方は訪問看護ステーションの選び方をあわせて読んでみてください。

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