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※ この記事は、現役で訪問看護の現場に立ち、スタッフの採用・教育や事業所の運営にも携わる立場から書いています(→ 運営者情報)。
「転職サイトって使ったほうがいいの?」——これ、本当によく聞かれます。ネット上には転職サイトのランキング記事があふれていますが、そのほとんどはサービスを紹介する側が書いたものです。この記事では逆に、エージェントから看護師を紹介される側=採用する側から見た景色を、包み隠さずお伝えします。
先に結論を言うと、転職サイトは「使うか使わないか」ではなく「どう使うか」で結果が変わります。そして使うべき人・直接応募でいい人の線引きも、実ははっきりしています。
まず前提:転職サイトが無料で使える理由
看護師側は無料。ではどこからお金が出ているかというと、採用した事業所が紹介手数料を払っています。金額は聞いている範囲でおおよそ年収の20〜24%程度。年収400万円の方なら80〜100万円前後が動く計算です。
支払いのタイミングは入職した時点で全額。そして多くの場合、早期に退職すると一部が返金される取り決めになっています(半年ほど在籍すれば返金なし、というのが一つの目安です)。
この構造を知っているかどうかで、転職活動の解像度がまるで変わります。ここから先の話は、全部この「手数料」から派生します。
訪問看護の求人を扱っている転職サイト
仕組みの話はこのあと詳しく書きますが、先に実物を出しておきます。「結局どれを使えばいいのか」だけ知りたい方は、ここだけ見てもらえれば足ります。
私自身がどこか一社を推すことはしません。順位を付けるようなものでもないです。ただ、この4つはそもそも仕組みが違うので、自分がどれを求めているかで選んでください。
| こういう人は | サービス | 仕組み |
|---|---|---|
| 同じ訪問看護の中で事業所を変えたい 自分のペースで探したい/電話が苦手 | ジョブメドレー | 自分で検索して直接応募する(サーチ型) |
| 病院から訪問看護へ移りたい 訪問看護に絞って探したい | ジョブサポ看護師 | 訪問看護・訪問診療だけを扱う。面談して決める |
| 中の様子を先に知ってから決めたい | ナースJJ | 実際に働いた人の職場レポートを持っている |
| いきなり常勤は不安 ブランク明けで少しずつ戻りたい | MCナースネット | 訪問看護は常勤・非常勤。特養やデイなどの派遣・単発も扱う |
自分で探して、自分で応募したい人へ
ジョブメドレー(株式会社メドレー)
医療・介護の求人を扱うサイトですが、他の3つとは形が違います。担当者が間に入らず、自分で検索して、自分で応募するタイプです。
この形の一番の違いは、登録しても電話が鳴らないこと。自分のタイミングで動けます。プロフィールを入れておくと、事業所側から直接スカウトが届くこともあります。
このあと「同じ訪問看護の領域で移るなら直接応募でいい」と書きますが、その直接応募をやりたい人の受け皿がここです。地方の求人にも強いので、都市部以外で探している方にも向いています。
自分で探して、自分で応募したい人へ
ジョブメドレー
株式会社メドレー/自分で検索して直接応募するサーチ型
- 担当者が間に入らない。自分で検索して、自分で応募する
- 登録しても電話が鳴らない。自分のタイミングで動ける
- プロフィールを入れておくと、事業所側から直接スカウトが届くことも
- 地方の求人にも強い
このあと書く「同じ領域で移るなら直接応募でいい」を、そのまま実行できる形です。
病院から訪問看護へ移りたい人へ
ジョブサポ看護師(運営は調剤薬局などを手がける医療系企業)
ここだけ毛色が違います。訪問看護ステーションと訪問診療クリニックに絞っている会社です。総合型ではないので、病院やクリニックの求人を横に並べて比べる、という使い方はできません。
特徴的なのは、「採用する側」の視点を前面に出していることです。この記事でこのあと詳しく書く求人票には出てこない部分——残業が実際どれくらいか、オンコールが何回鳴るか、有給が取れているか、そして3年後に何人残っているか——そこを聞ける相手だ、と言っています。
採用側にいる人間として言うと、この4つの中で「定着率」を持ち出してくるのはここだけです。私が事業所を見るときに最初に確認する数字と同じなので、そこは評価しています。「一度転職して失敗した」という方が、二度目に使う先としても向いています。
病院から訪問看護へ移りたい人へ
ジョブサポ看護師
医療系企業が運営/訪問看護・訪問診療だけを扱う
- 訪問看護ステーションと訪問診療クリニックに絞って探せる
- 採用する側にいた視点で、求人票に出ない部分を確認できる(残業の実態・オンコールの回数・有給消化率・3年定着率)
- 「前の転職がうまくいかなかった」人の二度目としても
中の様子を先に知ってから決めたい人へ
ナースJJ(株式会社ハートフルケア)
看護師の転職支援サービス。転職した方から職場レポートを集めて蓄積しており、実際にその職場で働いた人の生の情報を持っているのがユニークな点です。このあと「過去にその職場を受けた人の情報を聞いてみて」と書きますが、まさにそういう情報を扱っている会社なので、担当者に直接尋ねてみる価値があります。
中の様子を先に知ってから決めたい人へ
ナースJJ
株式会社ハートフルケア/職場レポートを蓄積している
- 転職した人から職場レポートを集めて蓄積している
- 実際にその職場で働いた人の、生の情報を持っている
- 「前にここを受けた人はどうだったか」を担当者に直接たずねられる
担当者が付くタイプです。会社の看板より、合う担当者に当たるかどうかで決まります。
いきなり常勤は不安、という人へ
MCナースネット(株式会社メディカル・コンシェルジュ)
全国に拠点を持つ看護師・保健師の求人サイトです。訪問看護の求人は常勤・非常勤が中心ですが、それとは別に、特養やデイサービスなどの派遣・単発の仕事も扱っているのが特徴。「いきなりフルタイムは不安」「ブランク明けで少しずつ復帰したい」という方は、訪問看護は非常勤から入る、その前に別の場所で慣らす、という組み立てがしやすいはずです。なお訪問看護そのものは、法律上ふつうの派遣では働けません(紹介予定派遣などの例外だけ)。詳しくはブランクありでも復帰できる?で書いています。
いきなり常勤は不安、という人へ
MCナースネット
株式会社メディカル・コンシェルジュ/全国に拠点
- 訪問看護は常勤・非常勤。特養やデイサービスなどの派遣・単発も扱う
- ブランク明けで少しずつ戻りたい人は、選べる幅が広い
- 雇用形態に選択肢があるぶん、融通が利きやすい
複数登録して問題ありません。合う担当者を見つけるほうが、会社選びより効きます。
担当者が付くタイプを使うなら会社の看板より担当者です。複数登録して問題ないので、合う人を見つけてください。
ここで決めなくて大丈夫です。先に一つだけ言っておくと、同じ訪問看護の中で動くだけなら、そもそも自分で探して直接応募したほうが早い——これがこの記事の結論です。上の1つ目(ジョブメドレー)が、その受け皿にあたります。
ここから先は、なぜこの4つを分けたのかを書いていきます。採用側から見たエージェント経由と直接応募の扱いの差、使うべき人と使わなくていい人の線引き、そして担当者の見極め方まで。読んだあとだと、上の4つの見え方が変わるはずです。
正直に言います:エージェント経由と直接応募では扱いが違う
ここは、きれいごと抜きで書きます。採用側から見ると、この2つには大きな差があります。
- エージェント経由:手数料が発生するぶん、面接は本当に慎重になります。辞められたら損失も大きいので、少し違和感がある程度でも見送りにすることがあります
- 直接応募:まず「熱量があるな」と感じます。手数料もかからないので、「頑張ってもらえるか未知数だけど、まず採ってみよう」という判断がしやすい
それと、これも正直なところですが——「大手エージェントからの紹介だから優秀な看護師さんだ」と感じることは、私はありません。採用側がエージェントを見るときの評価軸は、紹介してくれる人数くらいのものです。エージェントの看板で人が良く見えることはない、と思っておいてください。
ただし、だから使うなという話ではありません。この差は「事前情報と準備の差」で埋められます。むしろ準備が整っていれば、エージェント経由でも当然受かります。次で具体的に説明します。
使うべき人・直接応募でいい人の線引き
採用側の実感として、線引きはかなりはっきりしています。
- 同じ領域への転職なら、直接応募でいい:病院から病院、在宅から在宅、クリニックからクリニック、施設から施設。勝手が分かっているので、自分の目で職場の中身を確認していくのが一番確実です
- 新しい分野に挑戦するなら、転職サイトを使う価値がある:病棟から訪問看護へ、のようなケースです。業界の概要、どんな人が挑戦しているか、未経験でも入れるのか、どういう働き方になるのか——その分野の”地図”を手に入れるために使うのが正解です
ただし期待値の調整も必要です。エージェントから得られるのは業界全体の輪郭であって、各事業所の中身の細部まで正確に分かるわけではありません。ここは後述の「聞き方」でカバーします。
エージェントをうまく使っている人の特徴
面接をしていると「この人はエージェントをうまく使っているな」と感じる瞬間があります。それは職務経歴書に表れます。
履歴書は皆さん書けます。差がつくのは職務経歴書のほうで、主観だけで書かれたものか、数字を交えて客観的に伝えられているか。ここが整理されている人は、それだけで印象が違います。逆に、情報だけが盛りだくさんで整理されていない経歴書が出てくると、正直「エージェントの力が足りないな」と感じます。
だから、エージェントに頼るならここです。自分の実績や担当してきた件数などをどう客観的に伝えるか、その整理を手伝ってもらう。ここにエージェントのセンスが一番出ますし、採用側にとって一番読みやすい応募書類になります。
エージェントに「聞くべきこと」と「あまり期待できないこと」
積極的に聞いていいこと
- 過去にその職場を受けた人の情報(受かった人・落ちた人の傾向)。ここは聞かないと出てきません。持っていない場合もありますが、聞く価値は大いにあります
- その事業所の離職理由。実は明確に把握できていないケースがほとんどなので、あえて突っ込んで聞いてみてください。答えられるエージェントなら本物です
- 給与テーブルの構造と、一番もらっている人の水準。これは自分で聞きにくいので、エージェントに調べてもらう価値が高い情報です
- 転職後もサポートしてくれるのか。入職して終わりの会社か、その後も見てくれる会社かは、最初に確認しておくといいです
あまり期待しないほうがいいこと
- 日程調整:自分でやってもエージェントがやっても、手間は大差ありません
- 給与交渉:一度は打診してくれますが、大きく動くことはあまり期待できません。それに入職前の給与交渉は、正直なところ採用側の印象を良くしません。交渉するより「どういう給与テーブルか」を事前に把握するほうが建設的です
面接にエージェントが同行してくる件について
これは書くか迷いましたが、知っておいたほうがいいので書きます。面接にエージェントが同行してくるパターンは、採用側の印象があまり良くありません。「この人はエージェントに言われるがまま来たのかな」と感じてしまうからです。
とはいえ、こちらから同行をお断りすることはありません(断ること自体が応募者の印象に影響しかねないので)。つまりこの選択権は、実は応募者側にあります。自分の言葉で話せるなら、一人で臨むほうが熱意は伝わります。
複数登録・しつこい連絡への対処
複数のエージェントに同時登録すること——採用側から見て、まったく問題ありません。気にしなくて大丈夫です。唯一の懸念は、あなた自身がエージェントとのやり取りに疲れてしまわないかだけ。窓口を増やしすぎない、という視点で考えてください。
連絡がしつこくて困ったときは、変に気を遣わずこう伝えれば大丈夫です。
- 「転職先がもう決まりました」
- 「家庭の事情で転職活動を一旦中止することにしました」
- 「家族と相談して、現職にとどまることになりました」
これで連絡は止まります。合わない担当者と付き合い続けるのは、いらないストレスです。早めに見切りをつけてください。
登録の流れと、担当者の見極め方
登録すると、まず確認されるのは今の転職の本気度です。「すぐにでも転職したい」のか「いい所があれば考えたい」くらいなのか。そして「どんな条件で、自分がどうなりたいのか」。ここを確認したうえで、面談に進むのが一般的な流れです。
面談の形はオフィス訪問、自宅近くのカフェ、オンラインとさまざま。会社によって差が大きいのは、その後のサポートです。つきっきりで伴走してくれる担当者もいれば、テキストのやり取りだけで進む会社もあります。
見極めのポイントはフットワークの軽さ。こちらの質問にどれだけ具体的に、どれだけ早く返してくれるか。私自身、10年以上前にお世話になったエージェントさんで、今でもハガキを送ってきてくださる方がいます。こちらの本気度に真剣に向き合ってくれる人を一人押さえておく——これが転職活動で一番大きな差になります。
ここまで読んで「やっぱり使ってみよう」と思った方は、この記事の前半に挙げた4つに戻ってみてください。仕組みを知ったあとだと、選ぶ基準が変わっているはずです。
まとめ:エージェントは「地図をもらう相手」
- 手数料は年収の20〜24%程度。この構造が採用側の慎重さを生んでいる
- 同じ領域なら直接応募、新しい分野に挑戦するならエージェント
- 頼るべきは職務経歴書の整理。給与交渉より給与テーブルの把握
- 面接は自分の言葉で。同行は必須ではない
- 合わない担当者は早めに見切る。合う人は10年先まで財産になる
転職活動は、思っている以上にストレスがかかります。だからこそ、家族と同じくらい自分のことを考えてくれる人かどうかを確認しながら、こちらも自分を曝け出して関わってみてください。いい担当者に出会えたなら、その転職はもう半分成功しています。


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